● 不動産屋の儲け(中間省略編) その3 ●第21話
◎さて、前回は仲介手数料以外の不動産屋の儲けに皆さん驚かれたでしょう?
でもまだまだこれくらいで驚いてちゃぁ、あまいあまい^^。
では、さらに不動産屋の儲けのテクニックを・・・
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それは一本の電話から始まった・・。
ルルルルルルー ルルルルルル−
私 「ありがとうございます!住まいのよいこ不動産でございます!」
客 「あぁ・・今日のチラシ見たんやけど・・・」
私 「ありがとうございます!!」
客 「わしなぁ、自分とこの家売ろう思ってんねんけどな。」
「このチラシに書いてある『査定無料』っちゅーんは
ほんまでっしゃろな?」
私 「もちろんです!」
てな会話があり、住所・氏名を聞き本日早速査定のため訪問する事を、
約束しました。ちなみにこのお客さんの名前は「森脇」です。
山本部長 「おぉ!売りの反響か?やったのぉ〜!・・でも富ちゃん
査定初めてやったの?」
「おーい!田山ぁ〜!査定の仕方教えたれや〜!」
田山 「ヘイ!承知しやした!」
私 「よろしくお願いします。」
田山 「よっしゃ!売りはほんまに儲かるから、俺のやり方よ〜く
見とくんやでぇ」
と、今回は田山係長が同行してくれることになりました。
田山 「よしっ!まず吉田地図もってこいや!!」
※「吉田地図」とは1000分の1まで縮尺した精密地図で、それを見ると
土地の形状を三角スケールなどでおおよその面積も計算でき、入居者の
名前も載っているという、不動産屋にはなくてはならないアイテムです。
私は田山係長にお客さまの住所・名前を言うと、田山係長は慣れた手つきで
吉田地図をペラペラ〜とめくり、「お、ここやな、あったわ『森脇』」
そして三角スケールを持ち出し、地図に当てながら、「西向かぁ・・前道
3.6m・・4mないから値ゴ(値交渉の事)の対象やな・・ふんふん・・
約15坪かぁ・・よし!売り頃やな・・。」と独り言のように・・。
田山 「ほな富ちゃん行こか!!」
と、早いテンポでいざ森脇宅へ・・。
ピンポーン・・・
私 「富山ですー!」
(守秘義務のある不動産屋は訪問時社名を言わないのは鉄則)
玄関から出てきた森脇さんは、私たちを上から下まで舐めるように眺め、
猜疑心一杯の表情をして出迎えてくれました。(ま。いつもの事だけど)
森脇 「ま、上がっておくれやっしゃ」
早速部屋に上がった私達は名刺を渡し、簡単な挨拶を済ませ、
部屋を一通り見せて貰う事になりました。
田山係長は天井裏から床下まで丹念に点検しています。
私は小声で「建築詳しいんですね・・」と言うと、田山係長は
「ポーズや、ポーズ!虫に食われてようが、雨漏りしてようが
そんなんどうでもええねん!」私「・・・・^^;」
そして一通り見終わると森脇さんが
森脇 「どうでっか?幾らで売れまっか?」
田山 「そうですな・・1200万円ですな」
それを聞いた森脇さんは、頷きながら私たちをニヤリッと睨み
なにやら奥から一枚の書類を持って来て私達の前にポイッと投げ出しました。
森脇 「それ見てみぃ・・お前らほんまいい加減な不動産屋やのぉ!」
その書類と言うのは、大手不動産会社 住○不動産が提出した査定書で
なんと査定価格が1600万円!!私は田山係長の査定ミスか?と思い
ドキドキしながら今後の成り行きを見守っていました。
そして、その査定書を手に取り眺めていた田山係長は、その書類を
ポイッと投げ返しました。
田山 「この書類がどうかしたんでっか?・・・・」
その声は低くドスが効いて、淡々とした口調でした・・・・
つづく
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