● 業界専門用語partU「かきあげ」(ローンアップ)
というもの (その1) ●第14話
現在でもよく「頭金0円で住宅ローンOK」と言う不動産広告
をよく見かけますが、現在では銀行も競争の時代に突入した
ので、100%ローンやはたまた、110%ローンというのも
出てきました。当時不動産を買おうと思えば、私が、この
よいこ不動産にいてた時は、銀行ローンで売買価格の90%
今では少なくなったノンバンクで95%ローンが最高でした。
と言うことは2000万円の物件を買おうと思えば、最低でも頭金
の100万円と諸経費160万円(売買価格×8%)合わせて
260万円が自己資金として必要とします。
でも、よいこ不動産の新聞広告には「自己資金0円でOK!」
と言う大きな見出しでチラシを打っていました。
そのため、反響のある客はそのほとんどが自己資金を持って
いないお客さんでした。
本当に自己資金なしで不動産が買えるのでしょうか??!。
プルルルルル・・・・。(電話のなる音)
平山(HP似顔絵参照)「はい!住まいのよいこ不動産です!」
客 「あ・・あの、聞きたいことがあるんですが・・・。」
平山 「はい!何でしょう?」
客 「今日のチラシに自己資金0円でOKって書いてあったの
ですが、一銭もなしに家が買えるのでしょうか?」
平山 「はいっ!買えますよ。うそは言いませんよ。」
「お客様、それより物件を決めるのが先決ではないで
しょうか?」
「今なら、ちょうどいい物件があるんですがね。」
「どうでしょう?今から見に行きませんか?ご自宅まで
お迎えに上がります。」
と言う風に、平山さんは営業トークでまくし立て、お客様を案内
することに・・・・・・・。
それから、40分ほどで帰ってきました。ニコニコしているので
どうやら決まったようです。
お客様を応接室に案内し「少々お待ちください」と言っています。
私 「平山さん、いとも簡単に決まったようですね。
平山 「あたしまえやがなぁ〜!金ない客はすぐ決まんねん」
私 「え?なんで、金のない客はすぐ決まるのですか?」
平山 「そんなん、言えるかいや〜!部長にでも聞けや!」
「部長〜!、また富ちゃんの・なんで・攻撃や、
あとたのんますわぁ〜」
山本部長 「そのくらい教えタレや〜!・・・まぁええわ、
富ちゃん、教えたろっ」
「あのなぁ、なんで金のない客はすぐ決まるか。」
「富ちゃん、貯金あるか?」
私 「いいえ・・・一銭もありません・・。」
山本部長 「ほんだら、家買おうなんて、思ったことないやろっ?」
私 「そんなん、とんでもない!」
山本部長 「そやろ。それがやな〜ある時、ふとチラシを見ると、
『自己資金0円で家が買えます』て書いてあるわな、
そら、最初は『そんなアホな〜』と思うけどな、
日が経つにつれ『ほんま、金なくても買えるんやろか』
『一回電話で聞いてみたろか?』とか思うように
なってくんねん。まぁ、なんだかんだ言っても、
みんな自分の城持ちたいって気持ち誰でも
あるからなぁ〜」
「おまけに、毎月の支払い額がほとんど家賃と
変われへんって聞いたらどー思う?」
私 「う〜ん、一銭もいらず、おまけに家賃と変わらない
支払いだったら、僕でも家買いたい
ですよ!」
山本部長 「そやろっ!そーなってくるやろ!」
「ほんで、客は(ホンマカイナ〜)と思いつつ電話
してきよるわけや!」
「案内する物件も1件〜2件だけええんや。でも、
ちょっとこましな物件で、
のせれる物件。」
私 「部長!その、のせれる物件、の・のせれる・って
どういう事ですか?」
山本部長 「あれ?これまだ説明してなかったっけ?」
「たとえば、2000万円で売りに出てる物件があると
するわな〜、でも、客には2300万円です、って
言うんや。ほんだら、どや?300万円と?」
私 「仲介手数料の66万円・・・・合わせて366万円の
儲けですか・・・・・スゴ・・。」
山本部長 「そういうことや!でもな、全部がのせれる物件とは
限らんのや!」
「たとえば、売主が一般の人や、大手不動産会社、あと、
よいこ不動産を知らん業者や。あとは、うちの会社
知ってても、のせはあかん・ちゅーとこもある」
「ほかに、チラシに載ってる物件はのせられへんわな、
客、結構見とるからな」
私 「でも、さっきの話で、300万ものして売って、
売主は何も言わないんですか?」
山本部長 「ええとこに気づいたのぉ〜!そや!それや!。
まぁ〜よく知ってる業者やったらさっきの話やと、
100万くらいバック(HPの不動産専門用語集参照)
するわな、そしたら、・次ものせて売っていいよぉ〜・
と言う事になるわけや!」
「それに、この業界の究極の裏技■中間省略■という方法
もあるしな!。まぁ、これはそのうちに教えたるわ。」
*この■中間省略■に関しては、後ほど紹介しますので、お楽しみに!
山本部長 「ほんで、話は戻るけど、今まで不動産に縁がないと思って
た奴がや、物件見せて、『これが貴方の物になるのですよ〜』
と耳元で囁いてみぃ!そりやぁ、客はいちころやて!
ほんでな、金ない客は、物件の吟味より、ローンが通るん
やろか?ってそっちのほうが心配になるんや!。
だから、物件は何でもええねん。」
私 「う〜ん・・・なるほど・・・でも、
人の弱みをついたやり方ですね。」
山本部長 「富ちゃん!それを言ったらあかんわ!今の世の中、よーく
考えてみぃ、資本主義の世の中なんて、みんな、人の弱み
ついて儲かっとんやんか。ちゃうかぁ〜!」
「前にも言ったと思うけど、金のない不動産の縁のない
奴に、不動産を持たせてあげるんやで!財産をもてるんやで!
不動産ってなんや!みんなの夢や!わしらは
その夢を売っとんや!
夢売り人や!そのくらい当然の報酬や。
まぁ〜、いろいろ考えあるけど、そーユー事に
しとけや!富ちゃん!・・・な・・・な。」
私 「・・・・・。」(また、僕をまるめ込もうとしてる・・)
と、山本部長にいろいろ言われ、ちょっと抵抗感がありましたが、
当時若かった私は、社会ってこういうものか、
と、自分を納得させ、この悪徳不動産の世界へとどんどん
はまっていくのでした。
つづく(次回をお楽しみに!)
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